令和5年8月1日
テーマ 「ヤル気」について
従業員は、企業目的を達成するために賃金を得て職場で働いている。企業目的は、企業によって様々であるが、資本主義社会においては、社会に製品・サービスを提供することにより対価を得、それによって従業員の賃金、会社存続・発展のための投資、国等への税金を支払い会社としての存続を図っているのが一般的である。会社の発展は、従業員のヤル気によって大いに左右される。
ヤル気を起こさせるものを「動機付け」と言い、これは、上司のリーダーシップ如何に左右される。上司のリーダーシップと従業員のヤル気如何が企業の動向を左右するのである。
動機付けについては、様々な考え方がある。
○マグレガーの考え方によれば、彼は人間をX型(仕事に対して消極的タイプ)とY型(仕事に対して積極的タイプ)に分類している。現代の厳しい生き残りの時代には、Y型の多い企業が適合している。ここから彼は目標による管理や経営参加制度を提唱している。
○ハーズバーグの考え方によれば、彼は、人間には2種類の欲求があると言っている。一つは、衛生要因であり、もう一つは、動機付け要因である。
衛生要因とは、苦痛を避けようという動物的欲求であり、動機付け要因とは、精神的に成長しようとする人間的欲求である。人間は誰でもこの二つの欲求を持っているが、どちらの欲求がより強いかが大切である。企業を発展の方向に向かわせるのは、動機付け要因である。それは、個人を積極的職務態度に向かわせるからである。具体的には、達成・承認・仕事そのもの・仕事の責任・昇進などと言っている。組織はこの要因を大切にしなければならない。
○有名なものとしては、ホーソン実験がある。
アメリカのウエスタン・エレクトリック社ホーソン工場での実験である。
物理的作業条件を良くすれば、作業能率も向上する筈という前提で実験した。
結果は次の通りであった。
① 照明の明るさは作業能率に影響を与えない。
②物理的作業条件(労働時間、休憩時間、作業環境など)を高めると能率も高まるが、条件を基に戻しても能率は高まる。
③作業者は自分の不満や意見を吐露することにより、態度が改善される。
④作業者は自然発生した共通的感情を行動の規範とし、この感情が個人の行動に影響を与える。ということであった。
結果から分かったことは、
① 働く人間は感情に左右される。②公式組織以外に、仲間内の非公式組織が存在し、個人がこの非公式組織から影響を受ける。ということである。
上記から次の施策が出て来た。
① コミュニケーションの円滑化:提案制度、社内報
② 公式組織と非公式組織の調和:職場懇談会
③ 個人を集団に適応させる施策:カウンセリング、苦情処理制度
従業員にヤル気を起こさせる動機付けの探索には、長い歴史がある。皆様の会社では、自社に適した方策を積極的に取り入れられることを希望したい。
(登録会員 村田哲也)
コラム
「日本の古代史には学ぶべきことが多いよ」「例えば?」「飛鳥時代の663年に、当時の百済が唐・新羅の連合軍から攻められ応援を頼まれた時、時の天智天皇、藤原鎌足は、援軍を出したが敗れてしまったよ」「それから?」「直ちに、対馬・壹岐・筑紫等に防人と烽火を設け、長門・筑紫に築城したよ」
「効果あったの?」「お陰で鎌倉時代の蒙古襲来時にも役立ち、江戸時代の太平の世を迎えられたよ」「成程ね」 (広報分科会員 金子一郎)
寸鉄:一日一日にけじめをつける:一日一日にけじめをつけていこう。今日のことは、今日やってしまおう。これは、時間の問題ではない。志の問題である。明日という日には、又明日やるべきことが待っている。
:土光敏夫「信念の言葉」より