テーマ 意識改革(社長(役員)・社員の心を変えること)
京セラ、KDDIの創業者の故稲盛和夫さんは、平成22年1月2兆3300億という巨額の負債を残して、倒産した日本航空(以下JAL)を2年半で再建し再上場を果した。その際に社長(役員)から末端の社員までフィロソフィー教育を実施し、意識改革を行い重要な役割を果した。
フィロソフィーは薬に例えれば、抗生物質のペニシリンのように即効性はありませんが、漢方薬みたいに効果が出るには時間がかかるものです。顕在意識から潜在意識にまで到達するように、フィロソフィーを何回々も繰り返し復唱して実行しなければなりません。
故稲盛和夫さんの「リーダーシップ論」は十ヶ条から成り立っており、その中で最も重要なのが6条の “社員の心を変える” ことで意識改革を図るのです。人の心を本当に変えることが出来るのか?変えなければ意識改革は出来ません。JALで役員や社員を対象にした研修を紹介したいと思います。
リーダーは「人格者」でなければならない。人格とは人間性が優れていること。人となり、人柄なのです。我々一般的に人格と聞くと崇高とか篤実を連想しますが、総括的に言えば“その人となり”であり、その人の考え方、感じ方の総合統一したものであり、その“実践”を言うのです。
「仕事は人格の象徴であり、働きはその人の価値である」と言われますが、世間には高い能力を備えていながら、心が伴わないために道を誤る人が少なくありません。
経営者の中でも自分さえ儲かればいいという自己中心の考えから、不祥事を起こし没落を遂げていく人が多くいます。
才覚が人並みはずれたものであればあるほど、それを正しい方向に導く羅針盤が必要となります。その指針となるものが、「理念や思想」であり、また「哲学」なのです。そういった哲学が不足し人格が未熟であればいくら才能に恵まれていても、せっかくの高い能力を正しい方向に活かしていくことができず道を誤ってしまいます。
この人格というものは 「性格+哲学」という式で表せると、故稲盛和夫さんは語っています。
人間が生まれながらにもっている性格(先天的能力)と、その後の人生を歩む過程で学び身につけていく哲学(後天的能力)の両方から人格というものは成り立っています。
心理学・医学者であるウイリアム・ジェームス(米国・シラキュース大学教授)が、「ヒンズー教」の教典を引用して、心が変われば運命や人生も変わると言っている。
心が変われば、態度が変わる。態度が変われば行動がかわる。 行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格がかわる。 人格が変われば運命が変わる。運命が変われば人生が変わる。 『ヒンズー教・教典』 |
“苦しい時の神頼み”とはよく言ったものです。人間の力ではどうにもならないと行き詰まりが生じた時、または現代の医学ではどうにも治療が不可能であるという難病に、自分又は家族がかかった時もうすっかり絶望して悲観にくれて、神様助けて下さいと祈るものです。
しかし、神様が私たちを助けてくれるものではありません。神に祈り続けるということは、祈るうちに “自分の心が変わり”、自分全体の生命の波動が、神に融合し、神に同化し、自分に内在する神を祈りによって呼び起こしているのです。
JAL再建で役員や社員に講演されたリーダーシップ論の6条を解説してみました。働くのは人で、働く意欲を出すのは心、この心にやる気を出させるのがフィロソフィー教育なのです。この混迷した社会で経営者の皆さんがフィロソフィーを学んで、実行していただき社員や事業が素晴らしい発展を遂げていくことを願っています。
(登録会員 御厨好明)
コラム
「岸田政権がよれよれになっているね」「そうだね。既に大臣が3人も辞任しているし、4人目が公職選挙法違反と統一教会の問題で追及を受けているね」「どうなるんだろう?」「自民党が長年の政権政党でおごっているのと大臣の質の低下が基本にあると思うよ。しかし、日本には、自民党に代わって国政を担える政党が無いし、世界的な危機の時代だからやるべきことに専念して欲しいよ」「例えばどんなこと?」「国防とエネルギー問題だね。物価対策もお願いしたいよ」「成程ね」
(広報分科会員 金子一郎)
寸鉄: 熱意をもって:経営というものは不思議なものである。いくらでも考え方があり、いくらでもやり方がある。不思議なこの経営を、この仕事を、おたがいに熱意をもって、懸命に考えぬきたい。やりぬきたい。
松下幸之助「道をひらく」より