令和5年5月1日
テーマ 日本と韓国の金型製作事情の違い
- 韓国における金型企業、成形企業及びエンドユーザーの実情
友人の依頼を受け、5年程韓国大手家電メーカーの下請であるプラスチック金型企業の指導に当たったが、金型発注体系が図1のように日本と大きく異なっている。
1) エンドユーザーが金型企業社を選定し金型を発注する。その金型を成形企業に支給し成形品の量産を委託する。
①金型発注(製作)時点で成形企業が決まっておらず金型企業が独断で金型設計と製作を行うため、リバースエンジニアリング(手直し)ができないばかりか成形機の仕様、樹脂材料乾燥機や金型冷却装置等々の周辺機器の能力が分からないまま金型を製作することになる。
②金型発注担当者と成形企業に量産品発注部署や担当者が異なる場合が多い為、双方情報交換ができていない。
③金型発注者は金型設計・製作の知識が低く、金型の価格重視で安かろう(悪かろう)で発注する為、量産過程で金型の故障や生産性低下が発生することとなる。加えて、不良率が極めて。高く、物によっては40%に達することがある。従ってランニングコストが割高となり、利益を圧迫する。
2)金型企業及び成形企業の金型設計者や現場作業者の経験が浅く、定着率が低い。
①某金型企業(従業員45名)の社長によれば、「当社にはベテラン技術者がいるので心配ない」と言うので、聞いてみると、経験7~8年の従業員2名のみである。「日本では7、8年位では未だヒヨッ子ですよ! 金型は奥が深く日々新技術も生まれるので、経験30~40年選手が全従業員中30%はいますよ!」と話すと、ビックリするがピンと来ていない。その企業に正しい金型の製作方法を教えようとしても、「それは日本のやり方でしょう。韓国には韓国のやり方がありますから。」と言うやり取りが続く。裏にエンドユーザーと金型企業の間でのリベートの匂いがする。
②韓国では定着率が悪く、業種が違っても給与が良ければ容易に転職してしまう。職歴が多い程、肩書も給与も上がるようであり、この様な体質では技術のレベルアップや継承が難しいと思われる。
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